時刻表百年史 [鉄道本]
時刻表百年史 新潮文庫 1986年
この本は、三宅氏のコレクションを中心にして綴る、時刻表史である。
そもそも、時刻表を愛好するとは、どういう事なのか?この本を読んで、思った愛好ポイントは、時刻表そのもの体裁の変化と、ダイヤというシステムへの探究心である。
体裁については、列車時刻を伝えるという新しい機能に対して、時代とともに工夫を加えていった様子をうかがい知ることができ、とても面白い。
例えば、最初の月間時刻表(明治27)は、右から左の漢字縦書きだった。
そして、数字縦表記を経て昭和17年の24時間制導入至るまでの表記変遷が興味深い。また、時代ごとにサービスを示すマークの移り変わりも面白い。赤帽マークや、ホーム上の洗面台(煤煙の汚れを落とすためのもの。)あり表記など、サービスは時代の鏡だと実感できる。表紙のデザインも広告が入ったり、ユニークなイラストだったりと見逃せない。
そして、探究心については、鉄道というシステムを、時間を置いて俯瞰して見ることで、新たな発見に繋がるのだと思う。これは愛好する側に、知識と思い入れが必要な作業だ。
本書の解説で、宮脇氏は"複雑きわまるダイヤと運転時刻の正確さ、それゆえにこそ日本の時刻表は、「読物」として面白い"と述べている。
まるでそれは、新たな数式を発見する様な行為であり、そこに浪漫があるのでは、なかろうか。
かく言う私も、本書に影響され、時刻表が刻んだあの瞬間-JR30年の奇跡なる本を購入してしまった。時刻表が愛読初心者には、優しい読物だ。
時刻表愛好家を"読み鉄"と呼ぶらしいが、これから、しばらく読み鉄にハマりそうである。
時刻表が刻んだあの瞬間― JR30年の軌跡 (JTBのムック)
- 作者: 松本 典久
- 出版社/メーカー: ジェイティビィパブリッシング
- 発売日: 2017/02/20
- メディア: ムック