木曽の森林鉄道 銀河書房 1973年 [鉄道本]
この本が書かれた1973年当時、木曽の森林鉄道は王滝線を残すのみとなっていた。
従ってこの本でも話題の中心は王滝線だ。
そもそも林野庁のホームページからは、木曽森林鉄道という呼称は存在せず、それは王滝森林鉄道をはじめとした複数の森林鉄道の通称だと分かる。
また、本では森林鉄道を識るには木曽の森林について識るべしと、木曽林の成り立ちから営林までの概略を取り上げている。
そして鉄道については、機関車の形式といった情報ではなく、それを利用する王滝村や、乗客の視点から描かれる。それがまた、貴重な記録だと思う。
中でも、私が注目した文章は、乗車の記録だ。この森林鉄道では正式な旅客営業はしていない。しかし、この本によると申し込めば無料で乗車できた様だ。おおらかな時代である。
このことについても林野庁のホームページでも"王滝森林鉄道では、職員用客車列車の「みやま」号や町所有の学童通学用専用列車の「やまばと」号があり定期運行されていました。 "と取り上げている。
さて、私ごとになるが、以前から林鉄に注目している。材木を輸送するという鉄道のシンプルな使われ方に、鉄道の根本的な魅力を感じてしまうのだが、ついに、先日のゴールデンウィーク中に王滝村に保存されている森林鉄道を訪ねることができた。目的は、王滝村春祭りイベントの林鉄作業体験と、保存会である、りんてつ倶楽部のレストア見学だ。
この保存鉄 鉄道の凄さは、保線は、役場を中心とした地元の方、車両は各地の有志と異なるメンバーが一体となって成り立っているところだ。
森林鉄道は、今でも王滝村の財産であり、かたちを変えながらも今でも活き活きとした村への関わりがあると林鉄ファンとして嬉しくなる。
線路のある松原スポーツ公園は、景色も良いロケーションで清々しいところ。人も食べ物も暖かかった。皆様、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか?