201・203・205・207系 電車の軌跡 福原俊一著 イカロス出版 [鉄道本]
かつて、205系が登場したころは、全く気に留めなかった。
それは、私の年代的に子供の頃に読んでいた絵本の影響かもしれない。例えば、"でんしゃがはしる"という本では103系が疾走するし、写真絵本、"つうきんでんしゃ"も103系、201系だらけだった。
しかし、この本を読むと改めて205系の偉大さが分かる。本に掲載されている車両の仕様は鉄道雑誌から得られる内容だが、それぞれの仕様の導入の経緯に当時の関係者の証言を加えることで、内容の厚みが増している。また、それが読者に"すぅー"と入ってくる点が著者の技である。
中でも私が気に入った逸話は、205系の側面上下のラインカラーの話で、営業サイドから二本にしてくれと言われ、設計部では下部上部の日本を提案。でも理由がいるから、上部は、大人の頭、下部は子供の頭(目)の高さに合わせたとして通したのだそうだ。こうした話は、なかなか知ることのできない面白い話と思う。
この本の出版年は2017年である。そして、もっと早くこの本に出会っていれば、実乗車時の楽しさが倍増したところだが、むしろ、205系が減少しつつあるこのタイミングの出版に何よりも、著者の後世に伝えたい意気込みを感じる。
乗車できる205系も少なくなってきたが、今のうち乗っておきたいと、この本は改めて思わせてくれた。
写真は、山手線から205系全廃する2005年に、当時の携帯電話で撮影した写真。
国鉄201・203・205・207系電車の軌跡 (イカロス・ムック)
- 作者: 福原 俊一
- 出版社/メーカー: イカロス出版
- 発売日: 2016/12/23
- メディア: ムック