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熊本の甲子園 [JITOZU_施設]

IMG_4783.PNG

参照MAP


写真は、2017年に撮影された熊本駅である。
1991年に水戸岡氏の手によりデザインにより改築された。


前回取り上げた、氏の著作、電車をデザインする仕事によると、そのモチーフは甲子園球場だそうだ。その理由は、"そのときに壮行会を熊本駅で行なったのですが、大勢の人が押し寄せたために選手たちがまったく見えなかったのです。そこで、「(中略)駅にお立ち台を作ってあげよう」"ということから、甲子園球場に因んだ建物としたらしい。


中川理氏の著作、偽装するニッポン: 公共施設のディズニーランダゼイションでは、その土地の名産や名物を積極的に駅舎と取り込んだ公共建築を建築のディズニーランド化として扱っている。
代表的なものとして、五能線の木造駅の土偶駅舎などである。


写真の熊本駅も、そうなのかな?と思ったが、ちょっと違う様に思う。
甲子園球児を、駅舎上に立たせたい。その発想は、地域広報という観点を超え、甲子園球児=地域一丸となって応援する対象という普遍的なテーマを扱っている。
それは地域の内部から生じる特産、名産とは異なり、駅前の高校球児パレードを見たデザイナーの、やっぱ高校野球でしょといった外野からの指摘だ。そこが、ディズニーランダゼーションと一線を画す所以ではないだろうか。
その指摘を、ストレートに表現すると甲子園球場がモチーフになるのだろう。


しかし、歴史的な建造物をモチーフとした建物は多々あるが、球場がモチーフとは、聞いたことがない。しかも言われないと気がつかないほどである。
そういった意味で、"何だか気になる"ことが、この駅舎の目的なのかもしれない。



電車をデザインする仕事: ななつ星、九州新幹線はこうして生まれた! (新潮文庫)

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  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 文庫
偽装するニッポン―公共施設のディズニーランダゼイション

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  • メディア: 単行本


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